赤ちゃんの歯はいつ生えてくるか、知っていますか?
歯が生えたら、離乳が終わって乳児から幼児になるのです。
白い前歯が顔を見せるのは生後8〜9ヶ月ごろです。
この真珠のようにかわいい歯がむし歯になったらどうしましょう。
そこが健康の分かれ道です。
むし歯ができたら歯医者に行けばいいと考えているか、むし歯なんかつくらないぞと考えているか。
この心得一つが、お子さんの生涯の歯の健康を左右します。
では、子どもの歯をむし歯にしないためにも何かしましょう。
砂糖のお菓子を与えない?
毎食後歯みがきをさせる?
日本のむし歯予防は、これまで砂糖ゼロ、食べたら歯みがき、早く見つけて早く治療を三本柱にしてきました。
ちなみに日本の砂糖消費量は世界143か国のなかで85位。
欧米諸国に比べると極端に少ないのです。
では、歯を磨いてないのでしょうか?
厚労省の調査では、毎日磨く人は国民の96.2%。
こんなきれい好きの国民もめずらしいのです。
全国でビリだった山形県の3歳児は、砂糖を食べずに世界のトップになったのではありません。
つらい努力をせずに成功した秘密はどこにあるのでしょう?
虫歯の原因から考えてみましょう。
むし歯の原因になるミュータンス菌は、歯が生える前は口のなかにはいません。
ツルツルした面にだけくっつく性質をもっているので、歯が生えるまではくっつく場所がないのです。
この細菌は赤ちゃんに一番近い人から感染します。
このためむし歯ゼロのためには、お母さんから赤ちゃんにミュータンス菌を感染させない、そのためにスキンシップを避けるという極端な意見もあります。
でも、これは大間違い。
赤ちゃんの口のなかの善玉菌(サングイス菌)も、一番近い人からうつるのです。
善玉菌が小さな歯の表面にすみついてしまうと、今度はむし歯が感染しにくくなります。
やっぱりスキンシップは欠かせません。
問題は、お母さんの口のなかのむし歯菌の量です。
もともと善玉菌が多く、むし歯の原因菌がほとんど見つからない人もいます。
砂糖をだらだら口にしていると、ミュータンス菌は増えます。
妊娠中は、どうしても食事が不規則になり偏食がちになりますから、その偏食を引きずっている人は要注意。
むし歯は、いくらきちっと削ってきちっと詰めても治らないのです。
プラスチックで詰めた歯は平均5.2年、金属の詰め物平均5.4年 かぶせる治療平均7.1年。
これが治療の結果です。
虫歯の原因をなくさなければ、削ったところはまた、むし歯が再発します。
しかも二度目にダメになったときは、一段とひどくなるのです。
これを繰り返して、多くの人が歯を失っています。
スウェーデンを例にとると19歳のDMFS(一人平均のむし歯のある歯数と詰めた歯面数、抜いた歯の合計)は3.6、むし歯ゼロの人は全体の59%。
これに対して日本は、悪い歯を歯面数でなく本数(DMFT)で数えても9.2、むし歯ゼロ数はなんと4%です。
日本に歯医者さんが少なくて治療が行き届かないのではありません。
全く反対です。
悪くなったら治療する、これでは歯は雪だるま式に悪くなってしまうのです。
厚労省の調査では、30〜34歳でDMFT(一人平均のむし歯、詰めた歯、抜けた歯の本数)が13.7、40〜44歳で15.6。
年を重ねるごとに歯を失い、50歳でまともな歯は、4割しかないというのが実状です。
体の不自由なお年寄りは、口から食べる自由を奪われると、みるみる衰弱してしまいます。
鼻から管を通され口を使わなくなったら、笑う力も話す意欲もなくなります。
いま老人介護でも、「口から食べる」ことが、元気を回復する一番の近道だといわれています。
高齢になっても自分の歯で食べるために、あなたも「悪くなったら治せばいい」を変えてみませんか。
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